「リンパ液」知っていそうで知らない体液
循環系の2つ目はリンパ系。血管系とは別にリンパ管とリンパ節からなるリンパ系がやや独立した循環系として存在します。リンパ管を通る体液はリンパ液と呼ばれています。虫刺されがかゆくて患部をかきむしると最初は血が出ますが、そのうち無色透明の液体が出てきます。
あれがリンパ液です。心臓から送り出された血液は、毛細血管に到達すると、毛細血管の薄い壁から血漿成分がこされて押し出され毛細血管の外(細胞間)に絶え間なく広がっていきます。
この押し出された血漿成分が細胞間液と呼ばれるものです。私たちの体内にある一つ一つの細胞はその細胞間液に浸っているようなイメージです。細胞間液が細胞に酸素や栄養素を渡す一方で細胞の代謝によって生じた二酸化炭素や老廃物を受け取ります。
その90%ほどが毛細血管に戻ってきます。残ったおよそ10%、2ℓほどの細胞間液はリンパ毛細管といわれる管に吸い上げられていきます。リンパ毛細管の吸い込み口は広く、バクテリアなどの病原体も容易に通ることが出来ます。
そのため、リンパ毛細管は有害物専用の通り道になっています。そしてこのリンパ毛細管を通じてリンパ系に入った細胞間液が「リンパ液」なのです。
リンパ液はリンパ毛細管からもっと太いリンパ管へと流れ込んでいきますが、この流れの中で、途中にある「リンパ節」によってフィルターにかけられ有害物質が破壊されたり中和されたりします。
リンパがもし循環しなかったらどうなるのでしょうか?運びきれなかった老廃物が溜って、流れなくなった排水溝のようになります。
1週間も2週間も台所の排水溝が詰まったらどうなるでしょうか?
溜った水はどんどん汚れていき、この状態を悪液質といいます。
同じように老廃物がリンパ液の中にとどまり蓄積されると、その影響で栄養素が細胞に届かなくなり、個々の細胞が栄養失調になり苦しくなっているのに加え、さらに老廃物に毒されることになります。
ガン患者の死因50%以上は、この悪液質という状態で細胞レベルの栄養失調になっているそうです。逆に細胞にきちんと栄養を与え、その老廃物を適切に取り除けば、その細胞は元気でいられます。
リンパ液の役目は主に老廃物を運ぶことです。老廃物(=体内のゴミ)回収と運搬という働きは静脈を通る血液と同じですが、大きな違いはゴミの大きさです。リンパ管では血管に回収しきれなかった大きなごみを運搬しています。
また、カラダにとって有害な細菌やウイルスなどの物質をリンパ管の途中にあるリンパ節でろ過し、有害物からカラダを守っています。
たとえば風邪を引いて喉が痛いときに、顎の後ろや首のリンパ節の部分が腫れ、触るとぐりぐりを感じることがあります。これはリンパ節内でウイルスとリンパ液の戦いが行われているのが、見える形、触れてわかる形で現れた状態です。
リンパ節は全身で800ヵ所以上あるといわれ、中でも鎖骨の上首、脇の下、足の付け根、膝の裏には大きなリンパ節があります。健康な人の場合は、リンパ液で運ばれた有害物質は、このリンパ節の所で身体から簡単に取り除ける形に分解されます。
ここで問題となるのは、リンパ液には、血液にとっての心臓のような「ポンプ」がないということです。ポンプがないので、リンパ液はゆっくり一定方向に流れていきます。
身体を動かしたり、マッサージをしたり、深呼吸することで、リンパ液を積極的に流すことも可能です。
リンパ節を通ってきたリンパ液は、最終的に2つの「リンパ本幹」に集まります。右上半身のリンパは、全長1~3cmの「右リンパ本幹」に、左上半身と下半身のリンパは、全長35~40cmの「胸管」に。
このリンパ本幹に上手にリンパを流し込むことが出来れば、それは血管系における心臓のポンプのような役割を果たします。またリンパ液を最も効率的に浄化する方法は「深呼吸」であるともいわれています。
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